防音対策の基礎知識|遮音・吸音・防振・制振の違いや悩み別の対処法を解説します!
防音対策をする上で、基礎知識もある程度必要です。
例えば使われている言葉についてですが遮音と吸音、また防振と制振という一見すると似ているような言葉でも意味が違いますので、確認をしておく事をお勧めします。
言葉が出てきても知らないということになりますと、業者を選ぶ時に説明を受けてもあまり深く入ってこないということが想定されるので要注意です。
まずは基本的なことぐらいは、事前に自分でも調べておく事をお勧めします。
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防音対策の基礎知識|遮音・吸音・防振・制振の違いや悩み別の対処法を解説します!
- 防音対策で行われる遮音・吸音・防振・制振の違いとは?
- 外部からの騒音を防ぎたい場合に行うべき防音対策
- 生活音が気になる場合に行うべき防音対策
- 楽器を演奏したい場合に行うべき防音対策
- マンションでは防音対策工事ができないケースもあるので注意!
- 防音対策工事を行う上で押さえておきたいD値
- 床の防音対策を行う際に知っておきたいL値
- サッシやドアに防音対策を行う場合に押さえておきたいT値
- DIYで手軽にできる防音対策!
- 近所の住民に配慮して二重壁工法で防音対策
- 防音対策を徹底していける二重天井工法の魅力
- 防音対策が素晴らしい気密工法のメリットについて
- 防音対策で吸音壁工法は選択肢があって使いやすい
- 防音対策で用いられるものの素材やタイプについて
防音対策の基礎知識|遮音・吸音・防振・制振の違いや悩み別の対処法を解説します!
防音対策をする上で、いくつか言葉が出てくることになります。
まず遮音と吸音という言葉の違いですが、遮音は音をコンクリートなどで跳ね返すことを意味します。
吸音は逆に音を吸収する事をさします。
吸収する事で音の跳ね返りなども防げることになります。
さらに防振と制振についてですが、防振は振動を抑えたいものに直接ブレーキをかける事、一方制振は振動が伝わる事を抑える事です。
基礎知識として防音対策の前に知っておくと良いでしょう。
防音対策で行われる遮音・吸音・防振・制振の違いとは?
防音対策に登場する遮音や吸音、防振に制振は一見すると同じように思えても、実際はかなり違いがあるといえるのではないでしょうか。
遮音は文字通り音を遮ることを意味しますから、障害物にぶつかると減衰する周波数に有効です。
一方、吸音は音を吸うという意味なので、こちらはぶつかると吸収されて音が小さくなるイメージです。
防振は振動が伝わるのを防ぐ対策、制振は発生する振動そのものを抑える対策となります。
いずれにしても、防音対策は複数の組み合わせで成り立つことが多いですから、違いや効果的な方法を知っておいて損をすることはないです。
防音対策は壁に厚みを持たせたり、隙間を埋めるだけで完璧ということはまずないです。
あれもこれも徹底してようやく納得のいく結果が得られるのが防音対策なので、本気で取り組もうと思えば茨の道になります。
とはいえ効果的と思われるところから取り組めば効果が実感しやすいですし、1つ1つ確かめながら進めていけますから、市販の防音製品が充実していることもあって、実は始めるのは簡単なのではないでしょうか。
外部からの騒音を防ぎたい場合に行うべき防音対策
防音対策と一口に言っても、工事を行うべき場所や工事内容は防ぎたい音によって異なりますが、建物外部からの音を防ぎたい場合は壁や窓に防音工事を行う必要があります。
外部からの騒音は、主に窓が薄く空気中を伝搬する振動が室内まで届いてしまう、もしくはエアコンの配管穴や換気口などの壁の隙間から音が伝わるのが原因なので、窓や壁に防音対策を施すことで外部からの騒音を低減することが可能です。
具体的な工事内容としては、窓に対しては防音効果が高い厚みがある防音ガラスへの変更や、既存の窓の内側にもう一枚窓ガラスを設置する二重窓工事などが挙げられます。
なお、二重窓は防音効果だけでなく、断熱性の向上にもつながり冷暖房効率も改善するというメリットもあります。
壁に対しては、エアコンの配管穴や換気口などの壁の隙間を埋める工事を行いましょう。
吸音材を使用したり、換気口を防音仕様に変更したりすれば、隙間から侵入してくる音を抑えることが可能です。
生活音が気になる場合に行うべき防音対策
隣の部屋の話し声や上階の足音などが気になる、もしくは自身が生活する上で発生する生活音が周囲に伝わるのを防ぎたい場合は、壁や床、天井に防音対策を施しましょう。
周辺住民が発する音が聞こえたり、自身が発する音が周辺に漏れてしまうのは、主に床や壁が薄いのが原因です。
そのため、隣の部屋の音が気になったり、自身の生活音が隣の部屋に漏れるのが心配だったりする場合は、壁の内側に防音材を入れるのが効果的です。
また、上階の足音で悩んでいる場合も同様で、天井裏に防音材を施すと良いでしょう。
床に対する防音対策としては、防音効果が高いカーペットやフローリングを施すのが一般的ですが、より効果を高めたい場合は床下に防音材を入れる工事を行うのがおすすめです。
なお、防音材は音を吸収して小さくする吸音材、音を反射する遮音材、発生した振動を伝搬するのを防ぐ防振材の3種類があるので、どのような騒音を防ぎたいのかによって適切なものを選択する必要があります。
楽器を演奏したい場合に行うべき防音対策
ピアノやドラムなどの楽器の演奏音は、部屋の中で発生する音の中でも特に大きな音に分類されます。
例えば、ピアノの音量は地下鉄の音量に相当する90dBと非常に大きいので、簡易的な防音対策では十分な防音効果が得られない可能性があります。
場合によっては、近隣住民からのクレームにつながる恐れがあるので、楽器を演奏したい場合は防音室を設置する工事を行うのがおすすめです。
防音対策として防音室を設置すれば、外部に漏れる音が低減されるので、心置きなく演奏を楽しむことができるでしょう。
なお、防音室の設置方法には、大きく既存の部屋をリフォームする方法と、組み立て式の防音室を室内に設置する方法の2種類があります。
広々としたスペースを希望する場合はリフォームがおすすめですが、組み立て式はリフォームを行う場合よりも費用が抑えられます。
加えて、組み立て式は用途に応じてサイズが選べるとともに、マンションでも設置できるというメリットがあります。
マンションでは防音対策工事ができないケースもあるので注意!
マンションに暮らしている方の中にも、楽器を演奏したいといった理由から防音対策工事を検討している方は少なくないでしょう。
しかし、マンションによっては管理規約によって、そもそも防音対策工事ができないケースもあるので注意が必要です。
特に、窓などの共用部分は防音対策工事ができないケースが多いので、防音対策工事を検討する際はまず管理規約を確認しておきましょう。
また、楽器を演奏するために防音室の導入考えている方も多いかと思いますが、ドラムの演奏音などにも対応した遮音性が非常に高い防音室は、2階以上には作れないケースがあるので注意が必要です。
遮音性が高い防音室は重量が大きいので、設置するためには床の工事が必要になる場合があります。
2階以上の場合は構造上の関係から床の工事ができないケースがほとんどなので、防音室が設置できない恐れがあります。
なお、1階部分については床の工事ができるケースもあるので、管理会社や大家さんに問い合わせてみると良いでしょう。
防音対策工事を行う上で押さえておきたいD値
防音対策工事を検討する際は、防音性能を表す指標について押さえておくことが大切です。
防音性能を表す指標には様々なものがありますが、隣り合う部屋同士の遮音性能を評価するための指標がD値です。
遮音性能とは、空気中を伝わる音を遮断する能力のことで、壁と通った音がどの程度小さくなったのかを測定し、差分となるdBを指標化したものがD値となります。
この指標は防音対策工事の見積書などに登場するので、防音対策を検討しているなら覚えておいて損はないでしょう。
また、この指標はJISによって等級が定められており、D-60やD-65といったように数字で等級を表します。
遮音性能の目安としては、D-65はピアノやステレオなどの大きな音は通常では聞こえず、通常の大きさの会話やTVなどについては全く分かりません。
D-60は、ピアノなどの大きな音はほとんど聞こえず、会話などについては全く分からないレベルです。
D-55は、ピアノなどの大きな音はかすかに聞こえるが、会話などは通常では聞こえないレベルとなります。
D-50は、ピアノなどの大きな音は小さく聞こえるが、会話などはほとんど聞こえないレベルです。
一般的な防音室の場合はD-50~55程度もあれば十分で、低音や振動まで考慮する必要がある場合はD-65~70を目標に設計を行うのが一般的です。
床の防音対策を行う際に知っておきたいL値
防音性能を表す指標には様々なものがありますが、床の遮音性能を表すのがL値です。
この指標は、床への衝撃音をどの程度防げるのかを表しているので、床の防音対策を検討しているなら押さえておいた方が良いでしょう。
また、この指標はJISによってL-40、L-45といったように等級が決められています。
数字が小さいほど遮音性能が高く、L-30は子供が飛び跳ねるなどの重量床衝撃音(LH)は通常ではまず聞こえず、イスを移動させたり軽量の物を落としたりするなどの軽量床衝撃音(LL)は全く気が付かないレベルです。
L-40は、LHはかすかに聞こえるものの、LLについてはほとんど気が付きません。
L-50は、LHは小さく聞こえるレベルで、LLは普通に聞こえます。
なお、L値は防音対策を行う際に覚えておくと便利な指標ですが、この指標は推定値で保証値ではありません。
建物の構造などにより遮音性能にバラつきが生じるので、この点については理解しておく必要があります。
サッシやドアに防音対策を行う場合に押さえておきたいT値
サッシやドアに防音対策を行う際、押さえておきたいものにT値と呼ばれる等級があります。
これはそのサッシやドアがどの程度の防音効果があるかを等級別に示したもので、T1からT4までの4段階があって数字が大きいほど防音対策として優れていることを示します。
最も性能の高いT4は40dBの軽減効果があるとされ、等級が一つ小さくなるごとに防音効果は5dBずつ減少し、T1では25dBの軽減効果を持つことになります。
ちなみにこのデシベルという単位はあまり日常生活の中で用いることが少ないですが、イメージ的には通常の会話が60dbB程度、地下鉄車内が80dB、ライブハウスが100dB、ジェット機の機内が120dBといった辺りです。
小さいほうの例は、一般的なオフィスが50db、郊外にある閑静な深夜の住宅地で30dbといった感じになっており、防音対策としての30dBや40dBの差がある程度これで分かるかもしれません。
DIYで手軽にできる防音対策!
防音材は使用する場所や目的によって効果にも違いが表れるものです。
確実な騒音の原因と目的を明確にすることこそが効果的な防音対策の近道になるようです。
防音対策をする防音材には吸音材や遮音材、防振材や制振材の4種類があってそれぞれの防音商品に特徴があり使用目的や効果も異なります。
床は小さなコツンという音から大きな物音のドスンという音までありさまざまですが、床への音の伝わり方には空気中を伝播する空気音と固体中を伝播する固体音とがあるそうです。
これらを防音するためにはしっかりと効果を発揮する性能の高い防音材を使う必要があり、遮音マットや防音ゴムマット、防振を極めた音パット等でDIYできます。
壁の音は壁や天井等にぶつかっていく音や跳ね返ってくる音、透過してしまった音や吸収された音に大別されます。
これらはガラスクロスグラスウールやウレタンスポンジ、吸音板や高性能防音シートやボードを組み合わせて対策していくのが良いかと思われます。
近所の住民に配慮して二重壁工法で防音対策
マンションなどの集合住宅では、騒音問題のトラブルを避けるために様々な対策を施しています。
二重壁工法は広く知られている防音対策で、壁を二重にして音を遮断します。
壁の内側と外側にコンクリートや石膏ボードなど音を遮断できる材料を貼り合わせて、音漏れを防ぎます。
建物の新築時に防音対策を行っていると楽ですが、既存の建物でも改修時に防音対策を施せます。
二重壁工法は壁の厚みを増やして音を遮断するため、冷暖房費も節約できます。
下地になる枠組みを組立て、内側と外側に音を遮断する材料を貼り合わせます。
壁の厚みが大きくなるので部屋が狭くなりますが、騒音を防ぐため騒音による睡眠不足を解消できます。
工事の費用は、使用する材料の種類や面積によって変わります。
石膏ボードとコンクリートの間に吸音材を入れると、遮音性能の低下を防ぎます。
低音域に関して太鼓現象が発生する場合は、壁と板の厚みを大きく取ります。
防音工事は、専門の技術と知識を持つ職人に依頼します。
防音対策を徹底していける二重天井工法の魅力
物音に対してあまり敏感なタイプではなく、生活音などが特に気にならずにマイペースに過ごすことができる方なら全く問題ないかもしれませんが、ちょっとした物音があるだけでも敏感に反応してしまうくらい音に対して神経質な性格である場合、騒音対策を徹底して防音対策にも大きな力を入れていくのが最も良いでしょう。
また、防音対策をしっかりと行っている家づくりを大切にしていきたいのであれば、二重天井工法にして上から聞こえてくる音を徹底遮断させる方法が存在しています。
二重天井工法とは一体どのような作りになっているのかと言うと、上の階のスラブと呼ばれる構造床から下地枠を吊り下げるようなかたちになる為、天板を貼ることで二重構造になって音漏れを防ぐ効果が高まります。
更に、スラブの裏に天板を貼り付けて天井を作るので上階との空間が生まれにくくなるメリットがあること、間に空間ができることで防音対策が徹底できるところも魅力です。
防音対策が素晴らしい気密工法のメリットについて
近隣トラブルはできるだけ避けたいのが本音と言えますが、マンションやアパートに住んでいる場合にはどうしても近隣住民との確執が生まれやすく、夜中に急に騒音がしてきたり生活音が影響して心地の良い生活が送れなくなってしまうことがあるので注意が必要です。
どうしても我慢ならない状況なら引越しを考えることも妥当と言えますが、直ぐに始められる予算が確保できていないと実現させることは難しくなってきてしまいます。
そんな悩める状態の人にぜひおすすめしたいのが、気密工法を取り入れている防音対策が完璧な家の存在になります。
気密性が高いことで音が漏れ出す心配がなくなり、防音対策がしっかりと行えるようになるだけではなく、同時に防寒・防熱対策まで徹底していけるところがメリットです。
注文住宅であれば家の構造に関して自分の希望を伝えることができるため、最初から気密工法を取り入れた家づくりをして欲しいと希望すれば、その通りの理想的な住まいを作り上げてもらうことができます。
防音対策で吸音壁工法は選択肢があって使いやすい
吸音壁工法は、防音対策としても非常に魅力的です。この方法は、壁面に吸音材を施工することによって室内の音の反射や吸収を高めるための工法のことを指します。
一般的には、3つの方法が準備されていますので防音対策としては非常に利用しやすいものに違いありません。
建築物や部屋の状況を考慮して選択できるように考慮していますので、クライアントの要望に適した形で進めていくことができる魅力が存在します。
吸音ボードやパネル、あるいは吸音材を導入することによって効率的に防音性を向上させられるようにしています。そもそも、部屋の中で生じる音の性質というものは全く違います。
例えば、単純に部屋の中で会話をすることとピアノを弾くことでは音が発生するメカニズムが全く違います。
こういった状況を考慮して、適切な形で防音対策を進めていかなくてはいけません。
そして、これを行うことができるのが吸音壁工法ですので理想的な形で防音対策を進めていくことができます。
防音対策で用いられるものの素材やタイプについて
防音対策とは、振動の伝わりを抑えることで騒音を減らすための対策です。対策には、素材やタイプにより建物の構造や内装を変える事やそのための設備を導入する事などの方法が知られています。
防音対策で用いられる素材には、大きく分けて吸収と遮断と制振の3種類があります。
吸収材は、振動を熱に変える素材です。反射させずに反響を低減することができます。ウレタンフォームやフェルトやグラスウールやロックウールなどがあります。
遮断材は、伝導を物理的に遮断する素材です。伝わる経路を物理的に遮断することで減衰させます。石膏ボードやコンクリートや金属板などがあります。
制振材は振動を抑える素材です。制振材には、ゴムやウレタンフォームやフェルトなどがあります。
対策には、大きく分けて室内対策と外部対策と機器対策の3種類があります。室内対策は建物の内側から行う対策です。
外部対策は、建物の外側から行うものです。機器対策は発生する機器自体への対処です。